『そうか、そうか〜。うんうん…!琴乃はやっぱり賢いなぁ!そうと決まれば早速転入手続きじゃ!制服はもうバッチリ用意できとるぞ…!可愛い琴乃にはよく似合うじゃろうから問題なしじゃ!それじゃ、早速明日には迎えに来るでの〜』

機嫌よく帰っていく祖父を玄関まで見送った私はリビングで呆然としている母親を気遣って言葉をかける。

『お母さん、そんなに心配しなくても大丈夫だよ?私、お父さんに似てわりと要領いいし、お嬢様学校でもなんとかやれるって。それに借金も肩代わりしてもらえるなんてとりあえず一安心だよ、ね?』

『もう…!琴乃ちゃんってば、櫻乃学園がどういう場所かも知らずに安請け合いして…』

ひどく落ち込んだ母親の様子に私は一抹の不安を覚えた。

櫻乃学園ってそんなにヤバいところ…?


『お母さん、櫻乃学園って噂でしか聞いたことないけど全寮制のお嬢様、執事見習い学校って認識でいいのよね?』


『いい?櫻乃学園を普通の学校と同じだと思っちゃダメよ!とりあえず説明するからこっちにいらっしゃい…!』


母親に促され、私は素直にそれに従った。


そして、すべての話を聞いた今、祖父の提案を二つ返事で了承してしまったことを後悔して現在に至る。


――――…