お母さんが…櫻乃学園の元生徒…!?

櫻乃学園といえば、私みたいな庶民でも聞いたことがあるスーパーお嬢様、執事育成学校だ。

まさか自分の母親が有名なお嬢様学校に通うくらいのお嬢様だったなんて…。

まぁ、多少世間知らずなのはそのせいなのかもしれない。

と、つい納得してしまう。


『それでだな。今回は提案がある…莉乃、お前の借金は私が立て替えてやろう、一千万など西園寺グループにとっては造作もない額じゃ。今からでも用意できる』

な、なんですって!?


祖父からのまさかの申し出に私は瞳をキラキラさせた。

しかし。

『…っ、お父様。何が目的なの…?』

母はと言うと怪訝そうに眉を潜め、浮かない表情だ。

『目的など何もないよ。ただ、実の娘が困ってるんだからなぁ、手を貸さないわけにはいかんだろう?…まぁ、頼みがあるとすればだな〜…琴乃』


突然名前を呼ばれ、私は目を見開いて祖父の顔を見る。


『琴乃、お前…櫻乃学園に通う気はないか??おじいちゃんからの今生の頼みじゃ…!お前が学業優秀なのは知っとるし、転入試験もさほど問題なかろう。それに櫻乃学園に通えば人生安泰じゃよ?もちろん、金はわしが出す…!』