しかも母親の借金返済を公久様に肩代わりしてもらうことを条件に転入とか…本当ありえない。

まさに泥舟とはこのことだと、公久様に抗議してやりたかったが流石に当主の命を断ることもできなくて。

『承知いたしました…』

と、渋々引き受けたのだ。


…詩乃様に似てる。

初めて琴乃に会った時は、公久様の亡くなった奥様、詩乃様に顔立ちや雰囲気がよく似ていると思った。

西園寺詩乃は、琴乃の祖母にあたる。

彼女は、小さい頃から西園寺家に遊びに来ていた僕をとても可愛がってくれて…。

僕自身も詩乃様のことを本当の祖母のように慕っていた。

…いやいや、顔がちょっと詩乃様に似てるからって泥舟には変わりないし…とりあえず足だけは引っ張らないように釘刺しとかないと。

そう思って、初対面から、かなりキツい言葉をかけていたのだが、彼女…琴乃は僕が想像していたよりもずっと強かだった。


僕が作ったノートを通学時間で完璧に暗記し、転入初日の特別授業ではまさかの2級にランクアップ。

しかもクラスの有力者、菖蒲池純連から気に入られ、友達の地位を手に入れたかと思うと…今度は生徒会にまで目をつけられるし…。