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「今日は本当に疲れた…ダンスパーティーも無事に終わったし。侑也くんが体調悪そうな時はどうなるかハラハラしたけど…」

寮の部屋に戻り、ドレス姿のままソファに横になる彼女に僕、沢城侑也は内心ため息をこぼす。 

西園寺琴乃。

僕と同じ16歳の高校1年生。

庶民として生きていた彼女が、実は大財閥西園寺グループの当主、西園寺公久の孫娘で母親は、櫻乃学園元5級ランク保持者だと知ったのはつい1ヶ月ほど前のこと。

急に別世界の住人になってしまって普通だったら不安になったり、精神的に病んでしまってもおかしくないはずだけど…。

ヒールを脱ぎ捨てソファに寝転がる彼女からは1ミリもそんな気配は伺えない。

神経図太すぎだろ。

まあ、ある意味そこが彼女の良いところなのだろうが…。

公久様から、彼女とのペアを命じられた時、かなりショックを受けたのを覚えている。

だって、櫻乃学園でも成績優秀な僕が、いくら西園寺の血を引いてるからって礼儀もないような庶民出身のお嬢様の世話係なんて死んでもゴメンだったから。