「…うん、そうだね」

と彼女に返答しつつ、正直私は憂鬱で仕方ない。

ダンスパーティーって…そんなの生まれてこの方参加したことないのに…。

心の中でソッとため息をこぼした。

しかし、この学園で上手くやっていくには避けては通れないだろうし、来賓が来るってことは祖父の公久もきっと来るはず。

おじいちゃんに私がちゃんと櫻乃学園で学んでいる所をアピールしとかないと…!

母の借金の返済に支障が出たら困るもの。

「…公久様、楽しみにしてるみたいだからちゃんとやってよね。僕の面子もあるんだから」

他の人には聞こえないくらいの小声で呟いたのは隣の席に座る侑也くんだ。

「わかってる…とりあえず無難にこなして失敗だけはしないようにするつもりよ」

私もコソッとそう返答し、教卓で未だにダンスパーティーについて熱く語る綾小路先生に視線を戻す。

ちなみに、数日前の屋上での出来事はお互いの中ではすでになかったことになっている…と思う。

侑也くんは普通にしてるのに私だけが意識するのもなんか癪だし、私もとりあえず何事もなかったように日々を過ごしていた。