間髪入れずにニコリと笑みをこぼし、答えた彼に私は違和感を覚える。

やっぱり、なんか侑也くんいつもの余裕がない気がする…。

どうしてかはわからないけど、鳳松院先輩が私を生徒会に誘ってから、何か様子が変だ。

「…そうだったんですの?ですが、沢城くんと姫香様が小さい頃からのお知り合いというだけでも驚きですわ」

「ふーん?ま、沢城がそう言うならこっちも詮索する気はないけどさ…自分のペアに心配かけるようなことすんなよ…?さ、純連様、我々はこの辺でお暇しましょう。ペア同士で積もる話もあるでしょうし」

本郷くんからの言葉にピクッと肩を揺らした侑也くん。

「そ、それじゃ…琴乃ちゃん、沢城くんまた後で」

純連ちゃんも私達の様子を気にしつつも、本郷くんに連れられ、屋上を後にする。

バタンと、屋上の扉が閉められた瞬間、侑也くんと視線が絡んだ。

ジッと私を見つめる綺麗な瞳を負けじと私も見つめ返す。

どのくらいそうしていただろうか。


「…ハァ。お前って結構負けず嫌いだよな」

そう言って、先に視線を反らしたのは侑也くんだった。

「まぁね。庶民出身でこの学園に来るくらいの度胸はあるつもり」

「ハハッ。確かに普通の神経でこんなところ簡単に馴染める場所じゃないし。そう考えるとたった2週間そこらで友達作って、ランクまで上げて…挙句の果てに生徒会に勧誘される琴乃ってすごいヤツなのかもな」