「…はい、西園寺さんそこまでで結構です。とてもスムーズでしたし作法も完璧でした…!さすが西園寺家のご令嬢ね…」

感嘆の声をあげる先生に内心ホッと胸をなでおろした。

こういう時、本当に自分の要領の良さがありがたい。

とりあえず、これで侑也くんに嫌味を言われることはないだろうし、気持ちの面で余裕がでてきた。

「ありがとうございます。ですが私なんてまだまだで…」

そんな謙虚な姿勢を見せつつ、恥ずかしそうに微笑んで見せる。

すると。

「まぁ…!そんなに謙遜なさらないで!!そうね…西園寺さんくらいのレベルならすぐにランクアップでもいいくらいよ?あなたのペアの沢城くんも執事としてかなりレベルが高いですし…うん。決めました…!西園寺・沢城ペアは今日付で2級にランクアップよ。今後もこの調子で頑張ってくださいね」

ポンッと先生に肩を叩かれ、激励されてしまい思わず私はパチパチと目をしばたたかせた。

「転入初日で2級ですって…」

「でも、確かに先程の西園寺さんの作法は完璧でしたし…」

「西園寺さんって只者じゃないわ…!」

ザワザワと教室内がざわつく中、いちばんその事実に驚愕していたのはきっと私自身だと思う…。