「…ふーん。それがあなたの本性?裏表激しいんだ…」

ちょっと顔立ちが良いからって理由で、ペアであることを喜んじゃった上に、トキメいた数十分前の自分を殴りたい。

やっぱり顔も性格も良い人間なんてそうそういないんだなと、心の中でため息をついた。

「別に僕は裏表激しくないよ。ただ好き嫌いがハッキリしてるだけだし。むしろ誠実だと思うけどね」

クスッと意地の悪い笑みを浮かべ、悪びれた様子もない彼。

…うわぁ。どうしよう…すっごく苦手なタイプかも。

口角が引きつりそうになるのをどうにか堪えた私は、冷静に彼に言葉を紡ぐ。

「なるほどね。あなたが私のことをよく思ってないっていうことはなんとなく把握したわ。けど…初対面でそこまで邪険にされる筋合いはないし、それに、私のこと嫌ならなんでペアなんか引き受けたの?」

「ハハッ。僕が引き受けたくて引き受けるわけなだろ?君のお祖父様の命令だよ、西園寺グループの執事が当主直々の命に背けるとでも?」

嘲笑で返され、さすがに私も若干イラッとしてしまう。

ダメよ。こういうのは先に怒ったほうが負け…。耐えるのよ、琴乃!

「…まぁ、確かにそうね。それじゃ、私がお祖父様に頼んで別の執事とペアを変更してもらえばいいってわけね?そしたら、侑也くんは嫌いな私とペアを組まなくていいし」