「元気で礼儀正しいお嬢さんですな。さすが、公久さんの孫娘。それに昔の莉乃さんに瓜二つだ」


目尻を下げて優しく微笑む学園長に私もつられて笑みをこぼす。


「そうじゃろ?莉乃に似て琴乃は美人じゃから、わしも鼻が高いわ。侑也、それじゃ琴乃のことくれぐれも頼んだぞ」


「承知いたしました…。琴乃様それではまずはお部屋にご案内いたしますので、こちらにどうぞ」


「は、はい…それじゃ失礼します」


侑也に促され、私は祖父と学園長に再度軽く頭を下げた。


「櫻乃学園で、ぜひ楽しい学園生活を過ごしてくださいね」


「琴乃、莉乃にはちゃんとわしから今日のこと報告しておくからな〜!次会う時はお茶会でた、楽しみにしとるぞ」


そう二人に見送られ、私は侑也と寮がある別棟に向かって足を進める。


この時、緊張していた私は気づいていなかった。

遠目でこちらを見ている複数の冷たい視線に……。