うんうんと、頷きながら淡々と語る母親。

さらに、話は続く。

『学園では定期的にテストっていう名目でお茶会やパーティーが開かれるんだけど…。まぁ、簡単に言うとそれぞれのペアがどのくらい素晴らしいかを学園長、職員、そしてゲストが審査するわけね。そこでの評価に応じてペアのランク付けがされるんだけど、最初は初級からはじまって最高ランクは5級。と言っても5級のペアなんて、学年に1人いればいいくらい…ま、私と芳樹は5級ペアまでのぼりつめたんだけどね〜』


最後はそんな自慢で母親の説明は幕を閉じた。


やっぱり早まったよ…完全に。


ただでさえ、知らない男子とペアにならないといけないのに部屋まで同じって…。


リムジンが学園の建物の前で停車したのと、私が盛大なため息をついたのはほぼ同時だった。

「西園寺様、校内に到着でございます。それでは、私が引き続き学園長室にまずはご案内いたしますので…」

リムジンを運転してくれた中年の執事さんが車からエスコートして私を下ろすと、恭しくお辞儀をしながら言葉を紡ぐ。


「あ、よろしくお願いします」


そう言って、ペコリと頭を下げた瞬間、中年の執事さんはギョッとしたような表情で私を見つめた。


え…?私、なんか変なことした…?


にこやかな笑みを浮かべつつ、私が内心戸惑っていると。


「椎名、ご苦労さま。あとは僕に任せて」


突然、背後からそんな声がかかり、私は声のする方向に向かってクルリと振り返る。


「こ、これは…沢城様。承知いたしました…それでは、西園寺様私はこれにて」