「朝比奈先輩、まだ明華のこと好きなんじゃないかなー」


「っ・・・それはないよ。もうすぐ一年経つんだし」


「わかんないよー?だって、朝比奈先輩は別れる気は無かったわけだし。あーどうしよっ!ねぇ、どっち推したらいいの?直球でくる一ノ瀬くんも良いよねぇ。強引なイケメン年下男子か、頼りになる年上イケメン王子。ん〜悩ましい!」


私をジト目で見てきたかと思えば、頭を抱えたり、腕を組んで考え込む仕草をしたり、動きが騒がしい仁乃。


「他人事だと思って・・・」


明らかに楽しんでいる仁乃に、今度は私がジト目を送った。


「ふふふ〜私は楽しくて仕方ないよ。恋愛漫画読んでる気分で」


「ちょっと。誰が恋愛漫画よ」


「ごめんて。まあでも、私は嬉しいんだよ?明華がまた恋できてることが。状況がどうであれ、素直になれば何も難しいことはないと思うの。朝比奈先輩が出て来たのは、ちょっと予想外だったけど。聞いてる限りだと、もう明華の気持ちも大体決まってそうだし。私は明華が幸せならそれでいいから」


そう言って微笑む仁乃。


ああ、もう。


仁乃のこういうとこ好きなんだよね。


芯はしっかり自分の考え持ってるとこ。普段はキャピキャピしてるからこそ、ギャップにやられる。


ま、本人には言わないけどね。


「ありがとう、仁乃。まずは、りっくんのこと、はっきりさせるよ」


「うん。あー楽しみっー!どんな展開になるのかしらっ。もうドキドキして寝れないよ〜っ。ちゃんと全部話してよー?」


「わかったから」


またふざけだす仁乃を見て、自然と頬が緩んだ。