「明華・・・ドキドキし過ぎて・・・胸が苦しっ」


振替休日が明けて、火曜日。


教室に入ると、尻尾を振る犬みたいに私を待ち構えていた仁乃に、昨日のデートのことを全部話した。


それを聞いて、胸を押さえて大袈裟に苦しむ演技をする仁乃。


「はあ〜っなんなの〜この展開!漫画みたいじゃん!え、三角関係ってことでしょ?キャーッ」


何事もなかったかのようにパッと苦しむ演技をやめた仁乃は、口元を両手で押さえて、足をバタつかせながらひとり盛り上がっている。


「もう、にの。ちがうから。りっくんは彼女いると思うし。会って話すだけだから」


「いやいやいや〜彼女いる人が元カノと二人で会う?ないでしょー。少なくとも朝比奈先輩は、そんなことする人じゃないと思うし」


「・・・・・・まあ、それはそうかもだけど・・・」


昨日、一ノ瀬くんと別れてから、結局電話を折り返す勇気はなくて、りっくんにメッセージを送った。


それで、りっくんから会って話がしたいって言われて、次の土曜日会うことになったんだ。


私も自分の気持ちをはっきりさせたいと思っていたから、ちょうど良い機会だと思った。