「早く素直になって俺のこと好きだって認めたらいいのに」
「・・・なっ、」
冗談なのか本気なのか分からない顔をしている一ノ瀬くん。
急にそんなことを言われて、油断していた私は言葉に詰まった。じわっと頬が熱くなる。
「ははっ、冗談だよ。そんな可愛い顔しないで。襲っちゃいそうだから」
「っ、もう、からかわないで」
フイッと顔を逸らして、ドキドキと脈打つ心臓を落ち着ける。
冗談のようで冗談に聞こえなくて。
まるで全部見透かされているような、そんな気がして。焦る気持ちを隠して平静を装うのに必死だった。
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