「うん。どっちがいい?」
「じゃあ、こっちで。やった、ありがと。すげー嬉しい、先輩とおそろ。あ、鍵に付けよ」
べぇと舌を出したクマを選んだ一ノ瀬くんは、純粋に嬉しそうにポケットから鍵を取り出して付けている。
ふふ、なんか可愛い。
「俺これ、一生大事にするわ。なんかこのクマ、あすか先輩みてーだし」
「一生って。どのへんが私なわけ?」
「べぇって威嚇してる感じ?素直じゃない先輩みたい」
ポケットからはみ出たクマを触りながら、ニィッと意地悪く笑う一ノ瀬くん。
「なにそれ。まあ、多少自覚はありますけど」
私も自然と頬が緩んでいた。


