はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



映画館を出て、私たちは近くのゲームセンターに入った。


「あすか先輩、クレーンゲームできる?」


「うん、割と得意な方かな」


「お、じゃあお手並み拝見」


そう言われて、目の前にあった手のひらに収まるサイズのクマのぬいぐるみに挑戦することにした。


表情とポーズの違うクマが山積みになっていて、端を崩せば落とせそうだ。


「っ!二つ落ちた!」

「お!すげぇ!」


まさかの二つ獲れた。取り出すと、ウインクをしたクマと、べぇっと舌を出したクマだった。


「かわいいっ。あ、ひとつ一ノ瀬くんにあげるよ。・・・っていらないか」


間違えたと思ってヘラっと笑って見せると、


「いや、欲しい。貰っていいの?」


予想外の反応が返ってきた。