結局あの時、私は逃げたんだ。
りっくんと向き合うこともせずに、楽な方へ逃げた。
映画のヒロインみたいに、真っ直ぐ想い続けられたら、もっとちゃんと向き合う強さがあったら何か違ったんだろうか。
ほんと、なんてタイミングで再会してしまったんだろう。
久しぶりに近くで見たりっくんは、やっぱりすごく大人に見えた。
急に現れたから驚いたし動揺したけど、元気そうでちょっとほっとした。もう今は素敵な彼女さんがいるんだろうな。
不思議と胸は痛まなかった。
なぜだろう。
あれだけりっくんのことがずっと好きだと思っていたのに。
もしかして、もう、好きじゃない・・・?
吹っ切れているの?
過去の思い出に触れても、今、どちらかといえば気になるのは、隣にいる一ノ瀬くんの方だ。


