はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



りっくんの家に遊びに行ったある日、エアコンの効いた部屋で二人でまったりしていると、りっくんの携帯が鳴った。


「ちょっと出るね」と言ってその場で電話に出たりっくん。電話口の向こうの声がしっかり私に届いていた。


『ねー利空ぅ〜来ないの?』

「だから今日は無理だって」

『え〜、じゃあまた今度ねー』


電話が切れたとき、私の中で覚悟が決まったんだ。


「りっくん・・・・・・、別れたい」


「えっ?」


「私と、・・・別れて欲しい」


「は、ちょっと待って。どうした?急に」


りっくんは驚いて、すごく動揺していたと思う。


「急にじゃないの。りっくんと別れたいの」


「いや、ちょっと待って。わけわかんない。なんで?」


「もう無理なの・・・」


そのあとも散々引き止められた記憶がある。

でも私は最後に思ってもないことを言ったんだ。


「もう好きじゃなくなったから」

って。


最後にはりっくんも「わかった」と、それ以上なにも言わなかったから、私はさよならを告げて部屋を出た。


外は、息が詰まるような蒸し暑さだったのを覚えている。