それからどうやって家まで帰ったのか覚えていない。その後のテストの結果も散々で。テスト期間中に会いに行くなんて、馬鹿なことをしたなと思った。
「あすか?大丈夫?」
「何かあった?」
「あすか、心配だから連絡ちょうだい」
既読スルーを続ける私に、着信も含めてりっくんからは何度も連絡があった。
りっくんに限って浮気とかそんなことあるはずがないって思ってる。そこは信じているし、信じたかった。
でも・・・、大学で見た女の人とりっくんがすごくお似合いに見えたんだ。綺麗で、大人っぽくて。それに比べて自分がすごくお子ちゃまに感じて・・・。
さすがに、既読スルーを続けるわけにもいかず、テストに集中していたと嘘をついて、何事もなかったかのようにまた普通に接していた。
デートもしたし、キスも、その先も・・・。
その時は満たされても、やっぱり大学の人の影を感じる度に劣等感の渦に呑み込まれて。
その劣等感は、心に汚い膿が溜まっていくかのように少しずつ蓄積されていった。
それが日を追うごとに膨れ上がって、どんどん苦しくなって、遂には耐えられなくなった。


