はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



それから、りっくんは受験があったりとやっぱり忙しかったけれど、それでも会う時間を作ってくれて仲良く過ごせていたと思う。


その関係が崩れ始めたのは、わたしが高2に上がり、りっくんが大学生になった時だった。

連絡は頻繁に取り合っていたし、愛されている自覚もあった。


ある日、テスト期間中だったか、学校が早く終わって、りっくんを驚かせたくて電車に30分揺られ大学まで会いに行った時があった。


大学は出入りが自由だったし、私服にも着替えて来たし、人もたくさん行き来していたから、バレないと思ってキャンパス入り口近くのベンチに座ってりっくんを待っていた。


この頃の私はびっくりするくらい積極的だったと思う。


りっくんはいつも、大学が終わると連絡をくれていたから、その連絡が来て、もうそろそろ出てくるかとワクワクしながら待っていた。


すると、少し先の方からなんだか目立つ集団が歩いて来ているのがわかった。


その中にりっくんを見つけて、私は思わずバッと顔を伏せた。


ドクドクドクドクーー


さっきまでのワクワクは一瞬でどこかへ消えてしまった。


りっくんを囲むように数人の男の人や、綺麗で可愛い女の人がいた。


そのうちの女の人が一人、りっくんの腕に絡みついていて、私の座っているベンチの横を通り過ぎるときにりっくんに言ったんだ。



「ねー利空ぅ、今日はうち来る?」



息が止まるかと思った。まるで、全身が凍りついたかのようにその場から動けなくなった。

当然、私に気づかずに通り過ぎて行ったりっくんがどんな反応をしたのかもわからなかった。