朝比奈先輩を見つけると、嬉しくて、いつも自分から駆け寄ってた。
もう私は、助けてもらった時に恋に落ちていたんだと思う。
3年生だった朝比奈先輩とは、校内で会えるといってもやっぱり機会は少なくて。
ある日、会いたくて仕方なかった私は、あの時の非常階段に向かっていた。もしかしたら、あの踊り場にいるかもって。
非常階段に着いて、階段を登るとすぐ、階段に座って寝そべるかたちで朝比奈先輩はそこにいた。
朝比奈先輩は、私に気づくと優しく笑いかけてくれた。
「あれ、どーしたの?あすかちゃん」
「・・・・・・好きです。朝比奈先輩」
私はもう、朝比奈先輩を前にして気持ちが抑えられなかったんだ。
「・・・あーあ。言わせちゃったなー」
そう言って顔を両手で覆った先輩は、ゆっくり体を起こして私を見た。
「ずっと考えてたんだよね。俺3年だし、受験もあるし、言ってる間に卒業だしなーって。・・・でもさ、やっぱり無理だよね。こうやって目の前にしたら好きだなって思うし、他の奴に取られたくないなって思うし」
「え・・・」
朝比奈先輩はゆっくり立ち上がると、
「好きだよ、あすかちゃん。俺と付き合ってくれる?」
優しく、でも熱を秘めた瞳が私を見つめていた。
口元を押さえて泣きそうになっている私の手を、朝比奈先輩はそっと外すと優しくキスを落としたんだ。


