「本当にいるんですかー?好きな人」
急に現れた俺に、先輩はかなりビビってた。そりゃそうだよな。
先輩は俺のこと全く知らなかったみたいだった。それがちょっと悔しかった。
強引な俺の態度に、先輩はだいぶ嫌悪感を示していた。
でもこれでいい。
普通に先輩の前に現れても、他の奴らと同じになる。たぶん相手にされない。
「忘れさせてあげましょうか?」
俺のその言葉に、更に眉をひそめた先輩。
本気だよ、先輩。
朝比奈さんとの間に、何があったかは知らないけど、ずっとそんな顔してるくらいなら、俺が忘れさせてやるよ。
俺のことで頭ん中いっぱいにしてやるから。
だからもう、あんな悲しそうな顔しないで。
俺だったらそんな顔させないから、笑顔にしてみせるから。
だからさ、
はやく俺のこと好きになってよ、先輩。


