遥斗side.
目の前の大きな画面にフルートを持った女の子と、幼なじみらしき男が映っている。
先輩が観たいと言っていた"君音"が始まったところだ。
画面を見つめる明華先輩を横目に、俺は全く映画に集中できないでいた。
失敗した。
バイト先に寄るんじゃなかった。
先輩を見送ってから戻ればよかったのに。今日は朝比奈さんが休みだってわかってたから、完全に油断してた。
クソッ・・・
まだ、再会して欲しくなかった。
明華先輩の気持ちは、まだ完全には俺に向いてない。いつだって、誰だって入り込める隙がある。
このタイミングで・・・ずっと忘れられない元カレに再会するって・・・・・・ないだろ。


