「先輩。このあとさ、映画行きたいと思ってるんだけど、今観たいのとかある?」
二人ともケーキを食べ終わったところ。
「あ、君音(きみおと)観たいなって思ってたんだけど、恋愛映画なんだよね・・・一ノ瀬くんは興味ないよね?」
「いや、俺なんでも観るから。それにしよ」
「いいの!?やった!嬉しい〜ありがとう」
満面の笑みを向けると、一ノ瀬くんは少し咳払いして目を逸らし、
「じゃあ、行きますか」
と席を立った。
ん?急にそっけない・・・私なにかマズかったかな?
そう思ったけれど、店を出る時にはいつも通りの一ノ瀬くんで、気のせいだったみたいだ。


