はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



そう答えた私に、仁乃は「そっか」と眉を下げて微笑み、それ以上何も言わず隣に座ってくれていた。


ついこの間、まだ好きでいようと思ったところだったし、何処かでまた会えたらとも思っていたのに。


彼の姿を見た瞬間、驚きはしたけど、なんだろう・・・まだ好きなはずなのに、なんでこんなにはっきりしないんだろう。


遠目から久しぶりに見た彼は、また少し大人っぽくなっていた気がした。


すでに帰ってしまった彼と、もう二度と会えない可能性だってあるのに、がっかりするどころか、寧ろほっとしているのは何故だろう。


そんなことを思う自分がわからないまま、周りの歓声を聞きながらぼーっとグラウンドを眺めていた。