私は、慌てて一ノ瀬くんの手を離して、また歩き出そうとしたけれど、グイッと右腕を引かれた。 「先輩、お題、なんだったっけ?」 「え?・・・・・・さっき聞いたでしょ」 「周りがうるさくて聞こえなかったんだよね」 う、嘘だ。判定係がマイクで叫んだんだぞ。 「もう一回教えてよ、先輩」 ニヤッと意地悪な笑みを浮かべている。 〜〜〜っ こいつ・・・。本調子の意地悪な一ノ瀬くんだ。 こうなるともう、何言っても諦めてくれないから、 「が、学校一の、イケメン・・・」 尻すぼみがちに言った。