「あすか先輩、今からちょっといいですか?」


そう言う彼はやっぱり、普段は何考えてるかわからない顔してるなって思った。


口角を上げたその顔は、相変わらずとても整っているのだけれど。


「うん、屋上でいい?」


「はい」


頷く彼と共に、騒がしい教室を後にした。




「先輩、こっち」


屋上に着くと、一ノ瀬くんがいつも昼寝をしているところに案内された。


壁を背に、段差にふたり並んで腰掛ける。



「今日は全く抵抗しないんですね」


意地悪い笑みを浮かべる彼。


「うん、私も話があったから」


私は表情を崩さず、淡々と答える。


もう一ノ瀬くんのペースにはのまれない。