無事に大学には合格し、私たちは今日卒業式を迎えた。


「じゃあ一ノ瀬くん!これからも明華をよろしくね!ちゃんと繋ぎ止めておかないと知らないよー!大学にはイイ男いっぱいいるんだからねー!」



卒業式が終わって、一緒に学校を出る一ノ瀬くんと私に向かって仁乃が叫ぶ。


一ノ瀬くんは苦笑いして歩き続ける。


「にのー!またねー!」


代わりに笑顔で手を振った。



今日は一ノ瀬くんの家にお邪魔することになっている。


一ノ瀬くんの家族は旅行に行くらしく、今日はお泊まりする予定だ。


一度遊びに行ったことはあるけど、お泊まりは初めて。


私の受験もあったから、私たちはまだキス止まりだった。


うちの親には仁乃のうちに泊まると言ってある。


だから朝からお泊まりの準備をして家を出た。



一ノ瀬くんの家に着くと、一ノ瀬くんのご両親とお姉さんがちょうど家を出るところだった。


「あら、明華ちゃんいらっしゃい」

「いらっしゃい」


一ノ瀬くんのお母さんとお父さんが笑顔で迎えてくれる。


「明華ちゃーん!卒業おめでとう!」


お姉さんは明るくて相変わらず可愛い。


賑やかで温かい一ノ瀬くんの家族が私は大好きだ。


「ありがとうございます。今日はお邪魔します」


「どうぞどうぞー!遥斗のことよろしくね!ゆっくりしてってー。じゃあ私たちは行ってくるから!」


一ノ瀬くんのお母さんがそう言うとあっという間に車に乗り込み出発してしまった。