「一ノ瀬くんっ・・・あのね、私、一ノ瀬くんのことが好き」
もう、いてもたってもいられず、あれだけ言えずにいた言葉を本人を目の前に言ってしまった。
目を見開いて固まっている一ノ瀬くん。
あ・・・・・・間違った?・・・
・・・・・・今の、絶対違ったよね。
あー・・・私のばかっ・・・
「一ノ瀬くんごめんっ、今の違っ」
慌てて弁解しようとしたけど、続きを言うことは許されず、ぎゅっと抱き締められた。
っ!
「・・・・・・今の、本当?」
低すぎない心地良い声が耳元に響く。
ドキン・・・ドキン・・・
一ノ瀬くんにも伝わりそうな程、胸が高鳴る。
「・・・・・・ほ、本当・・・です」
やっとの思いで口にした言葉は、何故か敬語。
花火はクライマックスなのか次々と打ち上げられ、カラフルな光が視界の端から入ってくる。
「もう一回、言って」
再び耳元に響く声。
〜〜っ
顔が熱を持つのがわかった。
「・・・・・・一ノ瀬くんが、好き」
花火の音でちゃんと聞こえたかはわからない。
でも、さらにぎゅっと強く抱き締められた。


