はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



「イタッ」


足を止め、下駄から足を引くと鼻緒が当たるところが擦りむけ赤くなっていた。


うわー、もう血が出そう。


イタタッ


当たらないように少し足を引き気味で歩くけど、うまく歩けないし、これじゃ間に合わない。


三角橋まであと少しだけど、明らかにペースダウンしてしまった。


花火ももう終盤。


お願いだから、まだ帰らないで・・・



やっとの思いで三角橋に辿り着くと、歩道は花火の観客で溢れていた。


どこ・・・


あ、そうだ。スマホ・・・




・・・・・・・・・わたし、バカだ。


最初から連絡すればよかったのに。


必死過ぎて全然頭が回っていなかった。


はぁっと大きなため息が出て、自分に呆れながらメッセージアプリを開いた。



「あすか先輩・・・?」


久しぶりに聞いたその声に、パッと振り返ると、ずっと会いたいと思っていた人がそこにいた。



思わず足が痛いのも忘れて駆け寄る。


ゆったりとしたTシャツにハーフパンツのラフな格好でもさらりとカッコよく着こなしている一ノ瀬くん。


本当に私なのかと確かめるように見つめられる。