「・・・・・・どうしても、無理なんだね・・・。明華の気持ちはわかったよ。・・・でもオレ、しばらく諦めきれそうにないよ。勝手に好きでいるのは許してくれる?」
前を見て私の話を聞いていたりっくんは、私を見て力なく笑った。
「りっくん・・・」
「オレのことは気にせずにちゃんと大学は受けてよ?待ってるから。・・・・・・その頃にはちゃんと、先輩として、ね?」
胸が痛い。
こんなに自分のことを想ってくれている人を振ったんだ。
・・・・・・私も、もう中途半端なことはできない。
「りっくん・・・本当に、ありがとう」
その時、
ヒューーと花火の上がる音がして、ドーンッという音と共に辺りが明るくなった。
「明華、もうデートは終わりでいいよ。行きなよ、待ってるんでしょ?」
「りっくん・・・ごめんね、せっかく誘ってくれたのに」
「大丈夫。オレが無理言っただけだから。ほら、急がないと花火終わっちゃうよ?」
「うん・・・本当にありがとう。・・・じゃあ、行くね」
私は立ち上がってお尻の砂を軽くはらうと、階段を上り三角橋を目指した。
「・・・・・・行っちゃった、か・・・。結構きついなー・・・」
夜空に向かって吐き出されたその言葉は、容赦なく綺麗に咲き誇る花火の音に掻き消され、誰の耳にも届くことはなかった。


