「あちゃー。これは黙ってないかもな・・・。明華はさ、いいの?花火大会、好きな人とじゃなくて」


「好きな人って・・・、だから、もう恋愛はしないんだって。りっくんにもちゃんと次で断るつもりだし」


「そうじゃなくてさ、ちゃんといるでしょ?好きな人。いいの?他の子に取られちゃっても。いつまでも明華のこと追いかけてくれるわけじゃないんだよ?」


その言葉を聞いて胸がキュッと締め付けられた。


一ノ瀬くんが、他の子と付き合う・・・


それでいいんじゃなかったの?


いつそうなってもおかしくはないし、私がどうこう言える立場じゃないのに、なんで・・・こんなに苦しくなるんだろう。


「・・・・・・仁乃、どうしたらいい?一ノ瀬くんのことは好きだけど、でも、また何かあったら・・・今度は受験に響くかもしれないし・・・」


「簡単じゃん。好きって時点でもう恋はしてるんだから。明華はどうしたいの?まだ起きてもいないことに勝手に怯えて、自分の気持ち押し殺してそのまま?一ノ瀬くんが誰かに取られても平気なの?それで受験に集中できるの?」


この気持ちを押し殺して、一ノ瀬くんが他の誰かと付き合う・・・


そうなった時、私はどうするんだろう。


耐えられるかな・・・


・・・・・・・・・いや、無理だ。


考えたくない。嫌だ。


それこそ受験勉強どころじゃなくなる。