「・・・いいの?」


「うん。オレは元々食べないし、明華が迷うかなと思って取っといたやつだから。食べてくれると嬉しい」


確かに、りっくんは進んで甘いものを食べるイメージはない。私が食べる時にいつも合わせて食べて半分くれたりしていた。


「・・・ありがとう。これ食べてみたいと思ってたんだ」


「やっぱり」


そう言ってりっくんはニコッと笑うと、またカルボナーラを食べ始めた。


こういう優しいところ、ずっと変わらないなぁ。


そんなことを思いながら少しほっこりしていると、右隣からドス黒いオーラを感じてブルっと身震いした。


ゆっくりと右を向くと、


「へぇ。あすか先輩、甘いもの好きなんだね。そういえば放課後にクレープ食べた時も美味しそうに食べてたもんね。この間デートした時も」


黒いオーラを纏ったままニッコリと悪魔のような笑顔を浮かべる一ノ瀬くんが私を見て言った。


「う、うん」


有無を言わせない圧に少し顔が引き攣る。