はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



日誌を書き終え、シャーペンをペンケースにしまいバッグに荷物を入れていると、廊下からこっちに向かってくる足音が聞こえた。


私たちの教室は3階の一番端。だれか忘れ物でも取りに来たんだろう。


そう思ってバッグを閉め椅子から立ち上がると、教室の入り口で止まった足音に視線を向けた。


「・・・・・・ぇ」


全く予想もしていなかったその人物に、思わず声が漏れた。


なんで・・・


「あすか先輩、ちょっと話せますか」


そう言いながらゆっくりこっちに向かって来る彼。


「・・・・・・どう、したの?」


なぜ彼が今ここにいるのか。


そんなことを考える暇もなく、一ノ瀬くんは私の目の前まで来た。


「先輩、俺の話聞いてくれますか」


目の前の整った顔はいつになく真剣な表情をしていた。


「・・・・・・・・・なんの、話?」


嫌いと言ってしまった手前、どういう態度で接したらいいのかわからず、少し冷たい言い方になってしまった。