遥斗side.



「遥斗、早く行こーよ」


先輩の後ろ姿を見続けていた俺の腕を美咲が引っ張っり歩き出す。


「西村先輩、マジ可愛いよなー」

「そういえば遥斗、西村先輩と仲良かったくね?声かけろよなー。俺らも喋れるチャンスだったのに」

「ほんとほんと」


同じクラスの翼と純が後ろでごたごた言ってる。


「ちょっと、西村先輩西村先輩ってうるさいんだけど!」

「美咲〜お前の方がうるせーよ。ちょっとは西村先輩見習え」

「はは!間違いねーな」

「なっ、翼も純も最低!!」

「美咲、いつものことじゃん。気にしない気にしない」


周りがいつもの如く騒いでるけど、俺はそれどころじゃなかった。


2週間ぶりに明華先輩に会った。


この2週間、会いたくても会えなかった。


あの時「嫌い」って完全に拒絶されたから。


明華先輩に言われたその言葉は、結構強烈だった。今まで他の女の子に言われたこともあるけど、比にならないくらい。


暇さえあれば、というかほぼ毎日ずっと会いたいと思っていた先輩と確実に目が合って、この場から連れ去りたい衝動に駆られた。



先輩たちが通り過ぎてから、ずっとあることを考えている。


『人の心弄ぶとか、ほんと最低だから』


仁乃さんがさっき言ってた、あれ。


誰に向かって言ったんだ?


いや、確実に俺を睨んでた気がするけど。


俺・・・?

でも、どういう意味だ?


なんでか分からないけど、このままほっといたらだめな気がした。


直接本人に聞くしかねーか。