校門を出て駅までの道のりを歩く。
駅までは徒歩10分。
一緒に帰るのは駅まででいいはず。だからできるだけ早歩きで駅を目指す。
「あすか先輩、歩くの早いですね〜」
「そう?普通だよ普通」
私は結構必死でいつもより大股で早歩きしているのに、一ノ瀬くんはそう言いながらも全然余裕そう。
脚が長いから?なんか腹立つなー。
「俺といる時間、短くしようとしてるでしょ?」
「っ、さぁどうだろうね」
よくわかってるじゃない。一刻も早く君と離れたいんですよ。
「このあと、予定あるんですか?」
「いや、とくにないけど」
「じゃあもっとゆっくり歩きません?」
そう言って、一ノ瀬くんは私の右腕をクイッと引いた。


