「お願いっ!一生のお願いっ」
まだ私の右腕を揺すりながらぴょこぴょこと跳びはねてる仁乃さん。
「はぁ・・・・・・わかったよ」
仁乃の一生のお願いはもう数えきれない。
毎回お願いを聞くまで引かないんだ。
まったく、5限目の休み時間なんて眠たくてしょうがないのに。
堪えきれないあくびを左手で軽く押さえると、右手を引かれてそのまま教室を出た。
階段を下っていくと徐々にじめっと感が増していく。
湿気で髪のコンディションは最悪だし、本当テンション下がるなぁ、この時期は。
そんなことを思いながら、いつでも変わらず元気な仁乃に手を引かれ廊下を歩いていた。
渡り廊下まであと数メートルというところで、渡り廊下側からTシャツにハーフパンツ姿の賑やかな集団が校舎に向かって歩いてくるのが見えた。
体育終わりだろうな〜なんて思いながら足を進めていると、私たちが外に出るよりも先に校舎に入って来た集団。そのうちの一人が立ち止まった。
その人が誰だかわかると同時に私と仁乃も足を止めた。


