「ほんとにそれだけだったなら、別に改めて聞いて欲しいなんて言わなくてもよかったよね?それに言ったじゃん、先輩に関わることはやめないって。あすか先輩のこと本気だから」
「っ、」
俯いたままの先輩が両手の拳を更にぎゅっと握った気がした。
何があったか分からねーけど、このまま押せば考え直してくれる?
そう思って、一歩先輩に近づいた。
なのに、先輩は一歩後ずさる。
なんで・・・?
「・・・・・・私はっ・・・一ノ瀬くんが・・・」
「・・・・・・俺が?」
少し期待して次の言葉を待った。
「・・・・・・・・・嫌い」
っ!
間違いなく言われたその言葉に思わず息を呑んだ。
「・・・・・・だから、もう、私に関わらないで」
そう言って俺の横を通り過ぎようとする先輩の腕を咄嗟に掴んだ。


