はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



ーーーー 土曜日。


バイトに向かう途中、駅前の横断歩道で信号待ちをしていたら、急に美咲が来た。


俺がバイトだと知ってて待ち伏せしてたらしい。マジで、なんで知ってんだよと思いながらもだるくてスルーしていた。


だけど俺のバイト先に一緒に行くと言って聞かず、あとで友達も合流してハンバーガーを食べるって言うから、客ってなると邪険にはできなかった。


横断歩道を渡ると目の前のカフェレストランに明華先輩がいた。まさか遭遇するとは思ってなかった。


一瞬目が合った気がしたけど、気のせいだったかもしれない。でも、朝比奈さんは無表情でこっちを見ていた。


わかってはいても、二人が一緒にいるところを見るのは結構キツくて、すぐにバイト先に向かった。


バイト先で昼飯を食べる予定だったから、だいぶ早めに着いて食べてゆっくりしてたら、しばらくして朝比奈さんが来た。


なんとなく同じ空間にいたくなくて、スタッフルームを出ようとしたら、それができなくなった。


「遥斗、明華のこと遊びならやめてくれる?」


朝比奈さんがロッカーを開けて着替えながらそう言ってきた。


朝比奈さんは、俺が明華先輩と出会う前、遊んでたことを知ってるから今回もそうだと思ってんだろうなと思った。


「遊びじゃないっすよ」


「・・・まあ、どっちでもいいけど。オレ、明華に告ったから。遥斗が本気なら、同じ土俵ね」


そう言って先にスタッフルームを出て行った。



それからずっと気が気じゃない。


明華先輩に連絡したくても、金曜の夜から既読スルーのまま返信がきてないから、さすがに送れなかった。


だから、月曜の今日がめちゃくちゃ待ち遠しくて、柄にもなく早起きしたわけだ。