電車を降りて、ある人に電話をかけていた。


「もしもーし!待ってました!」


今の私と温度差のありすぎる元気な声。


「・・・・・・・・・にの・・・っ」


「え!?ちょ、明華?泣いてんの?え、待って、今どこ?」


泣いてなかったのに、仁乃の声を聞いたら急に泣けてきた。


「・・・家に向かって、るとこ・・・」


「わかった。すぐ行くから!」


そう言って通話が切れた。


どうやらうちに来てくれるらしい。


それだけであたたかい何かに包まれた気持ちになって、少し心が軽くなった気がした。


仁乃っていう親友がいてくれて、私は幸せものだなって本当に思う。


ズッと鼻をすすり、涙を堪えて、とりあえず自宅へと足を進めた。