「・・・朝比奈先輩、ね。もう前みたいに呼んでくんないの?」
「あー・・・あれは、付き合ってたから・・・」
「そっか。でも、呼びにくくない?朝比奈先輩ってなんかよそよそしいし、前みたいに呼んでよ」
「いや・・・でも・・・」
確かに、ずっとりっくんって呼んでたから、今更苗字で呼ぶのも違和感がある。
「オレは前みたいに呼ばれる方が嬉しいな」
「・・・・・・わかった。じゃあ前みたいに、呼ぶね」
「うん」とりっくんは嬉しそうに笑った。
それからお互いのことを話している間に料理が運ばれてきて、食べながらも会話を続けた。
りっくんは話し上手だし、聞き上手だから自然と会話を楽しむことができた。
メインを食べ終わって、食器が下げられ、他愛もない話をしながらデザートを待つ。
ふと、窓の外に視線を移した。
・・・っ!
横断歩道の向こう側に立っている人物に目が留まった。


