でも、聞いていなかったらどうなってた?
なにも知らずに一ノ瀬くんに気持ちを伝えて、思いっきり笑われて、ゲームだったってフラれていた・・・・・・?
そう思うと胸が押し潰されそうになる。
だったら、聞いてよかったのか・・・
まだ傷が浅く済むから・・・
・・・・・・って、そうと決まった訳ではないのに。
臆病な私は、スマホに何度もメッセージアプリを表示させては、一ノ瀬くんの名前をタップできないでいた。
私が見てきた一ノ瀬くんは、そんな人じゃないと信じたい。
だけど・・・でも・・・と、トイレで聞いた話が、何度も私の知っている一ノ瀬くんを掻き消そうとする。
ブブッ
いきなり持っていたスマホが震え、ビクッと身体が揺れた。


