はやく俺のこと好きになってよ、先輩。



なぜか水を流せずにその場で固まる。


「私、パンにする〜」

「じゃあ私もそうしよー。ってかさあ、聞いた?遥斗と西村先輩もうすぐ付き合うらしいよ」


っ!!


急に自分の名前が出てきて、心臓が跳ねた。


自然と息をひそめ、更に身体が硬直するのがわかった。


「あー、やっとだね〜。遥斗も今回は結構手こずってるっぽい。西村先輩、なかなか落とせないらしくて」

「遥斗にしては珍しいよねー。でももう終わるんでしょ?西村先輩落とせたら焼肉奢りとか、男子たちもバカだよねー。そんな勝ち目のないゲーム。結局遥斗の勝ちじゃん、わかってたことだけど」

「遥斗の演技はホントヤバいからねー」

「そしたら美咲、もう遊んでもらえるんじゃん?」

「ねー。そろそろいけるかも。明日とか親いないし、誘ってみようかな」

「遥斗も溜まってそうだし、絶対ノるでしょ」

「ほんとほんと」


キャハハ!


遠ざかって行く笑い声と足音。