……トホホ。
ここはまるで動物園。
教室の扉は檻の柵のよう。
檻の中にいる拓真は白鳥で、群がるメスどもは野生のドス黒いカラス。
そして、私は一般見物客だから柵の中に入れない。
私が白鳥の気を引こうとして餌を撒いたはずだが、偶然にも餌を発見したカラスが群がって来ただけ。
こうやって扉越しから見つめる事しか出来ないなんてめちゃくちゃ悲しい。
本来なら指をくわえて羨ましがってるメスどもの前で、美男美女の私達が放課後に二人きりで帰宅している姿を見せつける予定でだったのに、まさか別の問題がやってくるとは……。
メガネを壊した事を今さら後悔してる。
あの失敗がなければ、拓真はずっと私のものだったし、私が一番乗りだったのに。
拓真ったらメスどもに喋らないでよ。
あー、ちょっとあの女。
拓真に触らないでよ。
他の女なんて無視して私だけを見てよ。
遠目から見ているだけで気が狂いそうだから、もう離れてよ。
人生初のヤキモチはムカムカする気持ちが治らない。
でも、一番腹立たしいのは、後から出現したメスどもと私への態度が真逆な事。
私には冷たくしたり厄介払いしたりバカにしたような笑い方しかしないクセに、メスどもにはやけに親切で優しい。
ん〜〜〜!!
悔しい……。
何よ、数学の質問をした茶髪のロン毛女!
拓真の前でセクシーに髪なんてかき分けちゃって。
私なんて、農作業のお礼に拓真にコーラを買ってもらったんだから。
何よ、あの前髪を斜めに流したショートカットのリップの色が濃い女。
ノートの受け取る際に、わざと拓真の指に触れないでよ。
私なんて、拓真の部屋に入って枕に頬ずりしたんだからね。
拓真もメスどもに対して、何故親切にするの?
私の告白を断った時のように『興味ない』って、冷たくあしらえばいいじゃん。
屋上で告白を断った時の一切可愛げのなかったあの時の拓真よ。
一生のお願いだから、今すぐに帰って来ておくれえぇ……。
拓真は何処からか殺気を感じ取った瞬間、急激な寒気に襲われた。



