メガネを壊した事は反省してるけど、またメガネ無しの姿を見れるなんて最っっ高に幸せ。
これからは、毎日ずっと学校でもメガネ無しの姿を見続けれるのかな。
それとも、代替品があるとか。
拓真が素顔のまま登校するようになったら、イケメン拓真と超絶美女の私が二人きりで帰宅する姿を見た女子達は、きっと羨ましくて私を妬むんだろうなぁ。
ムフフ。
……ま、私なら拓真と釣り合ってるし、周囲からはお似合いのカップルだなって思われちゃうかも。
はぁ……。
それにしても、潤しい瞳に吸い込まれちゃいそうなくらい胸がドキドキしちゃう。
早く私の男になってくれないかな。
和葉は胸の前で両指を絡ませながら、うっとりと恋する瞳で拓真を見つめる。
ところが、不機嫌に腕を組んだ拓真はなかなか作業に取り組まない様子を見て眉間にしわを寄せた。
「何で人の顔をジロジロ見てんだ。俺は人からの目線が大嫌いなんだ。言われた通りに早くサツマイモを引っこ抜け」
「は〜い……」
気持ちに温度差があるせいか、あっという間に渋い現実へと引き戻された。
和葉は先ほどの指示通り、渡された鎌でサツマイモの蔓をカットして、鍬で土の中に埋もれている芋全体を軽く掘り起こして短い蔓を引っ張った。
土の中でブチブチと根が切れる音と、地面から足に響き渡る振動が加わり、重たい芋との綱引きが始まった。
10年来の懐かしい感触は、不思議と童心に返らせていく。
「サツマイモの収穫はこれからが勝負。力を込めて引き抜いてみな」
「蔓って案外重たいんだね。拓真は普段から力作業をしてるからそんなに筋肉質なんだね」
「お前は、いつも俺のどこ見てるんだ」
「どこって言われても……。うーん、そうねぇ。顔と身体かなぁ。でも、残念な事に性格に難ありだね。拓真の魅力は口を開く毎に半減してるよ」
「……っく、お前よりマシだ。まぁ、その話はいい。土から芋が見えてきたら、周りの土を手でかき分けて収穫する。もうそろそろ芋が見えてくる頃だろう」
拓真の言う通り、手を強く引く度に土の中からはサツマイモが順々に顔を覗かせた。
背後から拓真に見守られた中で蔓から手を離した後、土の中に手を突っ込んで犬かきのように芋の周りの土をどけた。
「うわっ! 土の中からゴロゴロとサツマイモが出てきたよ。ねぇ、見て見て!」
「んー、どれどれ?」
土の間から複数の紫色のサツマイモが見えてくると、和葉は嬉しさのあまり目をキラキラと輝かせた。
拓真は背後からヒョイと身を乗り出して、和葉の手元の芋に目線を向ける。
すると、そこには長さが30センチ近くの大きな紫色のサツマイモがゴロゴロと連なっている。
「スゴイね! 土の中にはまだお芋が沢山眠っているよ」
「今年は豊作みたいだな」
和葉は次々と土の中から出てくるサツマイモに興奮すると、幼い子供のように無邪気にはしゃいだ。
そんな様子を背後から見守っていた拓真は、和葉の新たな一面に笑みをこぼした。



