LOVE HUNTER



ところが、目がハートになりかかっていたときにいつものような怒号が飛んできた。



「アホ! いきなり葉を引っこ抜くな。まずは根元から15センチ位を鎌で切って、鍬で芋を傷つけないようにしながら芋全体を土から軽く掘り起こさないと芋が抜けないだろ」

「はぁあ? 最初からそんなプロ的な要求をされても知る訳ないでしょ」


「収穫方法がわかるって言うから任せたのに」

「凡人知識しかない事くらいわかるでしょ。少しでも拓真にいいところを見せようと思ったこの乙女心がわからないの?」


「そんなの知るか。だいたいその自意識過剰なところをいい加減何とかしろよ」

「拓真の方こそ農作業の知識など知らないど素人の私をいちいち試そうとしないでよ。ふんっ、面倒臭い男っ!」


「……っく! 面倒臭いのは、どっちだよ」



サツマイモの収穫一つでムキになった二人。

怒りが冷め止まない拓真は先にヒョイと立ち上がってお尻についた泥を軽く払った。
和葉も続いて立ち上がろうとして、地面に手をついた、その時。



パキッ……


一瞬、不吉な破壊音と共に左手で何か固い物を踏んだ感触があった。



恐る恐る軍手をしている左手元を見てみると、そこには先ほどぶつかった時に吹き飛んだ拓真のメガネが。
状態を確認する為に恐る恐る手を上げると、フレームは歪みレンズにはヒビが入っていた。

壊れたメガネを見た瞬間、サーッと血の気が引いていく。



「ゴメン! どうしよう。拓真のメガネを踏んづけて壊しちゃったよ……」



和葉は罪悪感に駆られながら壊れたメガネを焦って両手で拾い上げた。

メガネを見つめながらシュンと肩を落としていると、拓真はこう言う。



「別にいいよ。それ、伊達メガネだから」

「えっ……。毎日メガネをかけてたからてっきり度が入ってるかと。でも、どうしていつもダテ眼鏡をかけてるの?」

「メガネをかけていれば少しは静かに暮らせると思ったから。まぁ、お前が現れてから騒がしい日々が続いてるけどな」


「何よ、それ……。騒がしくなった原因は誰だかわかるでしょ」

「……ったく。お前って奴は、相変わらず自分勝手であー言えばこー言うだな」



静かに暮らしたいと言う思惑は、和葉には理解不能だった。
しかし、メガネはそこまで大切な物じゃないと知るとホッとする。