「でも、あたしこの前和葉と二人きりの時に聞いたよ。ついこの間の彼氏はアラブの石油王だったんだってね」
「はあぁ?! ……それ、絶対嘘だって。だって、あの子は英語どころか日本語すらマトモに話せてないじゃん」
「言えてる。もしそうだとしたら、いつものように身振り手振りのジェスチャーで会話してたんじゃないの?」
「あはは、和葉ならあり得るかも。あたしは和葉に不動産屋の社長だって聞いたよ。あの子の話によると、マンションを一部屋プレゼントされたみたいだけど」
「……ねぇ、それこそ、嘘くさくない?」
「だよね。私もちょっと嘘くさいなって思ってた」
熱が冷めたら次の男に行くという恋愛サイクルは知っていたが、こまめに聞かないと話が多少前後してしまう事もある。
和葉自身も交際期間が短すぎて歴代の彼氏の記憶が浅い。
しかし、こうやって明らかにあり得ない相手を挙げて冗談を言う時は、そんなに熱を上げてない証拠だという事が最近わかってきた。
「私達さ、親友なのにどうして本音を話してくれないんだろうね」
「きっと、あの子は私達が知らないような深い事情を抱えているのかも」
和葉が人知れず抱いているトラウマに二人が行き着くのは時間の問題だった。
真実が明らかになる日は刻一刻と迫っている。



