「さっきのは拓真がいけないんだよ。和葉はフツーに挨拶しただけ。拓真が布団がどうたらって怒鳴り出したから誤解を招いたの」
「……確かにそうだな。俺がもう少し冷静でいれば、問題にならなかったのに……」
拓真は頭をクシャクシャと掻きながら、熱くなった気持ちを逃した。
しかし、事の発端はやはり和葉だと思い、上目遣いを向けた。
「……あのさ。お願いだから一時間ごとに教室に現れたり、ひっつき虫みたいに俺の周りをウロついたりしないでくれない?」
「えーーっ、何で?」
「『えーーっ、何で?』じゃねーよ。一日中付きまとわれてる身にもなってみろよ。束の間の休憩時間なのに、お前が休み時間の度に来たらちっとも休まんねぇだろ」
……と、距離を置こうとしている拓真。
だがしかし、LOVE HUNTERとして狙いを定めたからには落ちるまで離れる気はない。
とは言え、当人がそこまでお願いしてくるのなら仕方がない。
そうだよね。
休み時間の度に私が来ると、トイレにも行きづらくなっちゃうよね。
トイレのタイミングを知られるどころか、格好つけで我慢して膀胱炎になっちゃったら困るしね。
それに、もう名前を覚えてくれたから、ここまで付きっきりの必要はないかも。
ここは、一つ年上の和葉が大人らしく理解してあげるとするか。
拓真の意見を聞き入れる為に決断した和葉は、胸を張って伝えた。
「うん、分かった」
「おぉ! ようやく……」
「その代わり、毎日放課後駅まで一緒に帰ろうね。放課後からは和葉と二人きりの時間だよ!」
「っ!! わかって……ない………」
拓真の望みとしては、学校では静かに暮らしたいから、農作業の時以外は自分から離れてくれと言う意味だったが……。
付きまとう事を前提としている提案は、自分の想いが正確に伝わっていないという証拠だった。
『こいつにはもう何言ってもムダだ……』と、ガックリと肩を落として逃げる事を諦めた瞬間でもあった。
私はLOVE HUNTER
拓真の素顔に一目惚れしてから落ちるまでずっと傍にいると決めている。
だから、今回は100歩譲って願いを聞き入れた。
しかし、グイグイ攻める積極的な行動が、本気で嫌がられている事にまだ気付いていない。



