LOVE HUNTER




ーー同日の夜。
就寝支度を終えて部屋に戻った拓真の身に小さな事件が起こった。


白いTシャツに杢グレーのスゥエットパンツ姿で、就寝する為にいつものように部屋の扉を開けると……。
そこには、想像を絶する世界が待ち受けていた。



夕方にかけて和葉に貸していたはずのベッドの掛け布団は、ぐちゃぐちゃの山積みになった状態で放置。

その上、脱いだ花柄のシャツは床に。
勢いよく投げ捨てたモンペは、ベッドからつららのように垂れ下がっている。



よくよく思い返してみれば、部屋の扉越しにひと声かけてから居間に降りて来るまで、尋常じゃないほどのスピードだった。
その時は、やけに帰り支度が早いなと思う程度しかなかった。

しかし、その結果がまさか自分の身に降りかかって来るとは思ってもいなかった。

まるで泥棒が入ったかのような酷い荒れ模様に、ワナワナと怒りが沸き起こった。



「あいつめ……」



額に青筋を立てて怒りで震える拳のまま乱れた布団を丁寧に敷き直し、ふと枕に手をかけた。

すると、目線の先の無地で紺色の枕カバーには、無数の白いシミが付着している事に気づく。



「……ん。なんだ、コレ?」



枕カバーのシミをよく見てみると、目・鼻・口とフェイスパックの上から版画をしたような白いシミが付着していた。
しかも、ハンコの試し打ちをしたかのように無数の白いのシミが浮き上がっている。

よく見ると、まるで幽霊が微笑んでいるかのように薄気味悪い。



「うわっ、気持ち悪っ!」



白いシミが顔のパーツとわかった瞬間、拓真は顔を真っ青にしながら枕を鷲掴みにして勢いよく部屋の隅へ投げ捨てた。