LOVE HUNTER



早速、普段注意される時しか行かない職員室に出向いた。

草むらからうさぎが顔を出すかのように、扉の奥からヒョイと覗き込んだ職員室で目を左右させながら担任を探す。

すると、3つ奥の列の席に担任のスガオが何か書類に目を通していたのを発見する。



「センセー!」

「おぉ、一ノ瀬。どうした? 職員室に出向くなんて珍しいな」



スガオは元気よく姿を現した和葉を笑顔で迎えて、和葉はスガオの真横に立つ。



「ねぇ、先生。配布するプリントとかある? 今日だけ特別にお手伝いしてあげる」

「お手伝いを名乗り出るなんて感心だな。いつも生活指導の先生に叱られっ放しの姿しか見ていなかったから見違えたよ」


「もう、やだぁ先生ったら。まだ和葉の魅力に気付いてないだけでしょ! じゃあ、プリントちょうだい」

「(魅力って一体何の事だ)気持ちは嬉しいが、今日の配布物はない。お手伝いはまた後日頼むよ」



スガオは問題児の和葉がなぜ急に手伝いを申し出たのか疑問に思ったが、積極的な気持ちだけを受け取る。

だが、和葉はテンションが激減するとムスッと口を尖らせる。



「今度じゃダメ。昨日回収したノートでもいいし、遠慮しなくていいからさ。何でも持っていくよ?」

「一ノ瀬。その気持ちだけで十分だよ。どうもありがとう」



軽く目尻を下げたスガオは、シャットアウトするかのように手元の書類に目を通した。

和葉は急に手土産がなくなると渋い顔をする。



しかし、机に目をやると左側には高さ20センチくらいのプリントが山積みになっている。



なんだ、そこにプリントあるじゃん。
和葉のせいで生活指導の先生に頭が上がらないからって、こんなに大人げない意地悪をするなんて……。



「机にプリントあるじゃん。先生の意地悪。とにかくこれ持っていくからね」



和葉は不機嫌にボソッと言い、机の上のプリントを両手に抱え込んでスガオの元から走り去った。



「まっ、まて……。それは昨晩遅くまで残業して仕上げたばかりの職員会議用の資料の………」



手を伸ばして引き止めようとしているスガオの言葉など和葉の耳に届くはずがない。





メガネくんに印象深く出会う為に、このプリントがどうしても必要だった。
……ってか、出会うきっかけなんてどーでもいい。

まずは自分の存在を相手の記憶に植え付ける事が大事!