LOVE HUNTER



でも、ここは私が折れるしかない。
何故なら、そこにはデートの条件が掲げられているから。



「……はち……時。……ちぇ、わかったよ」

「決まりな。遅れたらデートの約束は無効にするから」



拓真はそう言って、偉そうにニヤリと口角を上げる。



まぁ、ここ二週間の経過からして拓真に勝てるとは思ってなかったけど。

はぁ……、参ったな。
拓真は私の事情なんて知らないから、本当にいつも自分勝手。



和葉は黒板上の壁時計で時間を確認すると、焦って席を立った。



「やっば! チャイムが鳴りそうだから、もう教室に帰るね」

「ああ。(ようやっと帰ってくれるんだな)」


「じゃ、また一時間後」

「どうしてまた来るんだ」



すると、和葉は舐め回すようなセクシーな目で振り返り、拓真の顎の下に人差し指を乗せて顔を近付けて小さな声で呟いた。



「お姉さん、農作業はハジメテだからわからない事が沢山あるの。これからマンツーマンで、手取り足取り教えてもらわなきゃいけないし、植物の生育についても随分興味あるわぁ」



和葉は、意地悪された仕返しのつもりで軽くおちょくった。
だが、火に油を注ぐと、拓真は手をパンと跳ね除けた。



「必要ないだろ」

「メガネの奥の拓真に会えるんだったら、必要以上に頑張っちゃおうかなぁ」


「ふざけんな。チャイムが鳴るから早く帰れ」



拓真は悪ふざけをした和葉の頬をムギュとつねると、早く立ち去れと言わんばかりに手に力を加えた。



「イテテ……。わかったってば」



和葉は教室を出る際に拓真に向かってあっかんべーをした。
ところが、拓真は何事もなかったかのように、再び頬杖をついて本を開いている。

和葉はあまりにも無関心な態度を見るなり腹立たしさを覚えた。